機能的脳神経外科について

機能的脳神経外科の領域は最近進歩が著しく、特に顔面けいれん、三叉神経痛に対する微少血管減圧術(MVD)、難治性疼痛に対する脊髄・脳電気刺激術、パーキンソン病に対する脳深部電気刺激術などの治療を、鳴門病院との連携のもと行っています。

難治性疼痛

各種鎮痛剤、モルヒネ、神経ブロックなどの治療にても効果のない慢性疼痛に対して脊髄あるいは大脳の電気刺激をおこなう方法である。

代表的な疾患は知覚伝道路の外傷、脳血管障害などによる知覚、痛覚の遮断によっておこる慢性持続性疼痛(deafferent pain)でヘルペス後神経痛、脊髄損傷後疼痛、視床痛などがある。

脊髄電気刺激は通常、局所麻酔下に脊髄硬膜下に経皮的に電極を挿入して脊髄後策を電気刺激して痛みをとるものであり作用機序は明らかでないがゲートコントロール理論から説明されている。

適応は末梢神経、脊髄の損傷による難治性疼痛である。効果は約50%の患者に満足できる効果が認められている。

大脳運動野電気刺激はより上位の遮断による疼痛であり脳幹部梗塞、視床出血などにともなう慢性疼痛であり感覚鈍磨があるにもかかわらず疼痛が強い病態である。

開頭術にて運動野を電気生理学的に同定しこの部に硬膜外に電極設置し前胸部皮下に植え込んだ刺激装置により痛みをコントロールするものであり効果は30%程度である。

しかし他のどのような方法でも効果のない症例に関しこの数字は魅力的な数字である。

これらの方法は欧米では次第に一般的となりつつあり本邦でも保険適応になったがまだまだ脳神経外科領域においてすら認知度が少ない治療法である。